そもそも、
上の「(E$_1$)と (E$_2$)」を一言でまとめるならば、
よく言われることであるが、
があったと思う。そうならば、アインシュタインは、「エントロピー増大則」を形而上学的命題と考えていたのだと思う。
アインシュタイン流に言うならば、
「コルモゴロフの$(\sharp_1)$」も「量子言語の言語ルール1と2」も実験的に否定されることは永久にない。
ただし、「理論的優越性」は決着できると考える。
さらに、しつこく問い掛けるならば、
$(A_0):$ ニュートン力学、電磁気学、相対性理論では、
「解釈問題」など無いのに、なぜ量子力学だけ「解釈問題」があるのか?
である。
実は、これは本質的な問いかけで、以下に答えるが、これだけでは十分とは言えず、この講義すべてで答えることになる。
言語ルール1 (測定) と 2 ( 因果関係 ) が量子言語のすべてである. したがって,
量子言語は言語なのだから、「習うより慣れよ」である。 つまり、
$(A_1):$ 言語ルール1と2 を丸暗記して、後は試行錯誤で使えばよい.
である。
$(A_2):$ experience is best teacher, or, custom makes all things
しかしながら,
ことは当然で、
\begin{align}
&
\mbox{量子力学の言語的解釈}
\\
=
&
\mbox{言語ルール1と2の使い方のマニュアル}
\end{align}
と考える。
(B): 「言語ルール1と2の使い方のマニュアル」があれば, それを読んだ方が上達が早い。
マニュアルなので、詳しく書けば切りがないないが、一つだけ書けば、次のようになる。
言語的解釈の中で、最も「使える」のは
である。
「言語的解釈=マニュアル」なので、言語的解釈の説明として、次の両極端な説明が可能である:
$(E_1):$ マニュアル(=言語的解釈)などなくても、試行錯誤で使っていれば、自然に会得できる.
$(E_2):$ この本で書くことすべてが、マニュアル(=言語的解釈)である
である。
これは当たり前に言われていることなのだから、何度も言っているように、「量子言語は独創的なことではなくて、平凡な当たり前のこと」
で、
である。
現象の背後にある実在の真の姿を追究するのではない。
量子言語は現象を組織化・予測するための形式的な道具・装置であると見なす立場で、
である。
$\fbox{注釈1.5}$ (コルモゴルフの)確率論は次の呪文からスタートする:
$(\sharp_1):$
確率空間$(X, {\mathcal F}, P)$を考える。
このとき、
事象$\Xi ( \in {\mathcal F})$が起こる確率は、
$
P(\Xi)$
で与えられる
これは、(量子言語以前に)科学的に成功した唯一の「(形而上学的)呪文」である。
これからスタートして、試行錯誤の末、コルモゴロフは、「コルモゴロフの拡張定理」
を発見した。 ここで、「コルモゴロフの拡張定理」の精神とは、
$(\sharp_2):$ ただ一つの確率空間しか許されない
であり、これは、言語的解釈 "測定は一回だけ"に対応する。
すなわち,
\begin{align}
\overset{\mbox{(基本定理)}}{\underset{\mbox{
(確率空間は一つだけ)}}
{\fbox{確率論}}}
\overset{\mbox{ (対応)}}{\longleftrightarrow}
\overset{\mbox{(言語的解釈)}}{
\underset{\mbox{(測定は一回だけ)}}
{\fbox{量子言語}}}
\end{align}
こうなると、
$(\sharp_3):$ コルモゴロフは、
言語的解釈の発見者の一人である
と考えたくなる。
コルモゴロフが出来たことならば、我々だって頑張れば、「測定は一回だけ」に到達できるに違いない。
言語的解釈は、マニュアルなので絶対的に不可欠というものではない。
無くても、試行錯誤の末に会得できるはずのものであると考える。
また、この講義では「量子言語は未来の理論統計学(図1.1のHin$\S$1.1)」を主張するが、
これは
$(\flat):$
「呪文$(\sharp_1)$に対する言語ルール1と2の理論的優越性」の主張
と同じ意味である。
なぜならば、
統計学の基盤は呪文$(\sharp_1)$だからである。
また、「理論統計学」としたのは、「未来の応用統計学」はコンピュータの比重が圧倒的になり、理論の部分が希薄になるはずだからである。
補足:
「エントロピー増大則」も科学的に成功した「(形而上学的)呪文」である。
出所の記憶が定かでないが、アインシュタインの言葉として、
$\quad \bullet$
将来的に、相対性理論が実験的に否定されることがあるかもしれない。
しかし、
「エントロピー増大則」が実験的に否定されることは永久にないだろう
1.2(2): 言語的(コペンハーゲン)解釈
This web-site is the html version of "Linguistic Copehagen interpretation of quantum mechanics; Quantum language [Ver. 4]" (by Shiro Ishikawa; [home page] )
PDF download : KSTS/RR-18/002 (Research Report in Dept. Math, Keio Univ. 2018, 464 pages)
言語的解釈 ($\S$3.1で読めるようになる)