第1章の要約をしておく。

要約 (量子言語のすべて) 量子言語 (= 測定理論 )は次のように定式化できる。

\begin{align} & \underset{\mbox{ (=量子言語)}}{\fbox{測定理論}} := \underbrace{ \underset{\mbox{ ($\S$2.7)}}{ \overset{ [\mbox{ (純粋) 言語ルール1}] }{\fbox{純粋測定}} } \quad + \quad \underset{\mbox{ ($\S$10.3)}}{ \overset{ [{\mbox{ 言語ルール2}}] }{\fbox{因果関係}} } }_{\mbox{ 一種の呪文 (アプリオリな総合判断)}} + \underbrace{ \underset{\mbox{ ($\S$3.1) }} { \overset{ {}}{\fbox{言語的解釈}} } }_{\mbox{ 呪文の使い方のマニュアル}} \end{align}
[言語ルール(=公理(Axioms)=お経=呪文)]
(A):
$\qquad \qquad \qquad $世界記述史の図式
言語ルールは実験検証不可な呪文 (i.e., お経, 魔法の言葉, 形而上学的命題)であって、カントの「アプリオリな総合判断」に対応している。 すなわち、



$ \underset{\mbox{(カント哲学)}}{\fbox{アプリオリな総合判断}} \quad \xrightarrow[\mbox{数量化}]{} \quad \underset{\mbox{(量子言語)}}{\fbox{言語ルール1と2}} $ これによって、 世界記述発展史内の「⑥$\rightarrow$⑧$\rightarrow$⑩」が実現される。
したがって, 我々のできることは、「理解すること」ではなくて、
  • 「信じて丸暗記すること」
である。 言語ルール1と2 を丸暗記して、後は試行錯誤しながら
  • 「黙って計算すること」

である。

[言語的解釈(=マニュアル)]
原理的には, 解釈など無くてもやっていける. 試行錯誤しながら自然と会得できるものである。しかしながら, 黙って計算するとしても
(B):量子言語の使い手の上級者に素早くなりたいならば、量子力学の言語的解釈(= 言語ルール1と2の使い方のマニュアル)を指針にした方がよいだろう。
言語的解釈 ($\S$3.1)の中で、最も使い出のある金言は、
  • 測定は一回だけ
である。
デカルトからカントまでの西洋哲学の流れを、量子言語的に理解するならば、次図のようになる。 \begin{align} \underset{\mbox{[二元論的観念論]}}{\mbox{デカルト哲学}}\longrightarrow \left\{\begin{array}{ll} \textcolor{blue}{\underset{\mbox{[言語ルール]}}{\mbox{大陸合理主義}}} \\ \\ \textcolor{red}{\underset{\mbox{[言語的解釈]}}{\mbox{イギリス経験主義}}} \end{array}\right\} \longrightarrow \underset{\mbox{[量子言語]}}{\mbox{カント哲学}} \end{align} したがって、
  • 「大陸合理主義 vs. イギリス経験主義」と書いたとき、「vs.」は「雌雄を決する」という意味ではない。
すなわち, 量子言語の精神は、
  • 初めに呪文(量子言語)ありき
または、ウィトゲンシュタインの言葉を借りるならば、
  • The limit of my language means the limit of my world
    私の言語の限界が、私の世界の限界
である。
以上が、量子言語のすべてである。