アブストラクト: 測定理論 (= 量子言語 )は次のように定式化される: \[ \underset{\mbox{ (=量子言語)}}{\fbox{純粋測定理論 (A)}} := \underbrace{ \underset{\mbox{ (\(\S\)2.7)}}{ \overset{ [\mbox{ (純粋) 言語ルール1}] }{\fbox{純粋測定}} } \quad + \quad \underset{\mbox{ ( \(\S \)10.3)}}{ \overset{ [{\mbox{ 言語ルール2}}] }{\fbox{因果関係}} } }_{\mbox{ 一種の呪文 (アプリオリな総合判断)}} + \underbrace{ \underset{\mbox{ (\(\S\)3.1) }} { \overset{ {}}{\fbox{言語的解釈}} } }_{\mbox{ 呪文の使い方のマニュアル}} \] 測定理論は

$\quad$ 言語ルール の「言葉遣い」を手本に(言語的解釈を指針として), 諸現象を記述せよ
と主張する.

本章では, フィッシャー統計学(=推定法)を言語ルール1 (測定: $\S$2.7)の中で定式化する。 特に、次を強調する:

  • 測定推論は「コインの裏表」のようなもので、同じようなものである
すなわち、

本章を読むのに、統計学の予備知識はいらない。


物理学と比べて、 学問としての統計学のイメージは、あまりよくないと思う。 「数理的データの解析手法で、雑多な感じがする」からである。 経済とか医学等のなかで、統計的問題に直面したときに 「泥縄」 で統計の勉強をして処理するのが、一番健全な統計学との付き合い方だと考える。 そもそも「鉛筆と紙だけの統計学」の時代は過ぎ去ったのだと思う。
そうだとしても、



  • 「数学のような、そうでないようなもの」では困る



と誰もが思っているのだから。 本書では、


  • 「鉛筆と紙だけの統計学」の最期の総括を目指す







$\S$1.1で述べたように, 我々の目的は次図を主張することである:
  • 世界記述史の中での量子言語の位置
上図(特に, ⑦--⑨)から、量子言語は次の3つの特徴をもつと言える: $$ \left\{\begin{array}{ll} \mbox{ ⑦ :量子力学の標準解釈} \\ \mbox{ $\qquad$ (i.e.,コペンハーゲン解釈の真の姿) } \\ \\ \mbox{ ⑧ : 二元論的観念論 (デカルト=カント哲学)の終着点 } \\ \\ \mbox{ ⑨ : 未来の理論統計学 } \end{array}\right. $$