状態空間を$\Omega = \{ \omega_1 , \omega_2 , \omega_3 \}$(離散距離空間)とおく.
ここに,
また,
$L^\infty(\Omega)$内の
観測量
${\mathsf O}$
${{=}}$
$(\{ 1, 2,3 \}, 2^{\{1, 2 ,3\}}, F)$
は
次のように定義される.
したがって,
あなたは測定
${\mathsf M}_{L^\infty(\Omega)} ({\mathsf O}
{{=}}
(\{ 1, 2,3 \}, 2^{\{1, 2 ,3\}}, F), S_{[{}\ast{}]})$
─
「1番ドアの後ろに自動車が隠れている」
と言って,
司会者の返事を聞く測定
─
を行ったことになる.
司会者が「3番ドアの後ろに
羊がいる」と教えてくれたのだから,
測定
${\mathsf M}_{L^\infty(\Omega)} ({\mathsf O},$
$ S_{[\ast]}{})$
によって,
測定値" 3"を得たことになる.
したがって,
フィッシャーの最尤法(定理5.6)により,
あなたは
2番ドアを選ぶべきだ
となる.なぜならば
なので,
$[\ast]$
$=$
${\omega_2}$
と推定できる.
したがって,あなたは
2番ドアに変更すべきである.
注意5.15 [モンティホール問題(モーメント法による解答)]
(5.4節の注釈5.3の議論「フィッシャーの最尤法=モーメント法」を使えば、以下の計算は不要)
あなたは測定
${\mathsf M}_{L^\infty (\Omega )} ({\mathsf O}
{{=}}
(\{ 1, 2,3 \}, 2^{\{1, 2 ,3\}}, F),$
$ S_{[{}\ast{}]})$
─
「1番ドアの後ろに自動車が隠れている」
と言って,
司会者の返事を聞く測定
─
を行ったことになる.
測定値「3」を得たのだから,
近似サンプル空間
$(\{1,2,3\}, 2^{\{1,2,3\}}, \nu_{1}{})$
を得た. すなわち,
$\nu_1 ({}\{1 \}{}) =0 $,
$\nu_1 ({}\{2 \}{}) =0 $,
$\nu_1 ({}\{3 \}{}) =1 $
を得た.
したがって,
本書では、「モンティホール問題」について何度か議論する
(cf. $\S$5,5,
$\S$9.6,
$\S$9.7,
$\S$9.9,
$\S$18.2).
チョット間違いやすいクイズだから、モンティホール問題を何度も議論するわけではない。
だから、何度も議論するのである。
この節は、次からの抜粋である。
$(\sharp):$
S. Ishikawa, "Monty Hall Problem and the Principle of Equal Probability in Measurement Theory," Applied Mathematics
, Vol. 3, No. 7, 2012, pp. 788-794.
doi:10.4236/am.2012.37117
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ここで,
司会者は問う:「どのドアの後ろが自動車だと思いますか?」
さて,あなたはあるドアを選んだと仮定する.
たとえば,
1番のドアを選んだとする.
このとき,
司会者が
「実は,3番ドアの後ろは羊です」
と言う.
更に,司会者は問う.
「あなたは1番のドアを選んでしまいましたが,
今からでも変更可能ですよ.
2番のドア
に変更しますか?
」と.
さて,あなたはどうするか?
\begin{align*}
\omega_1
&
\cdots \cdots
\text{
1番ドアの後ろに自動車が隠れている状態}
\\
\omega_2
&
\cdots \cdots
\text{
2番ドアの後ろに自動車が隠れている状態}
\\
\omega_3
&
\cdots \cdots
\text{
3番ドアの後ろに自動車が隠れている状態}
\end{align*}
として,
\begin{align*}
\mbox{
古典基本構造$[ C_0(\Omega ) \subseteq L^\infty (\Omega, \nu ) \subseteq B(L^2 (\Omega, \nu ))]\qquad$
(ここに,
$
\nu(\{\omega_k \})=1,
\;
k=1,2,3$)
}
\end{align*}
を得る.
$\fbox{注釈5.4}$ 上記の解答を見れば,問い掛け「測定とは,何か?」
が,無理難題で,
広辞苑的定義以上のものを期待できないことが,
わかると思う(注釈2.5参照).
すなわち、
とか
ことを了解してもらえると思う。。
上の解答は,モンティ・ホール問題の正式な解答の1つである.
モンティ・ホール問題の解答は,
(統計学の)ベイズの定理
を使った解答が普通で,
これは第9章「ベイズ統計」と
第18章「信念の確率」
で述べる.
[未知状態
$[\ast]$
が$\omega_1$のとき]
\begin{align*}
(5.19)=|0-0|+
| 0 - 0.5| + | 1- 0.5| = 1,
\end{align*}
[未知状態
$[\ast]$が
$\omega_2$のとき]
\begin{align*}
(5.19)=|0-0|+
| 0 - 0| + | 1-1| = 0
\end{align*}
[未知状態
$[\ast]$が
$\omega_3$のとき]
\begin{align*}
式(5.19)=|0-0|+
| 0 - 1| + | 1-0| = 2.
\end{align*}
なので,
モーメント法によって、
$[\ast]$
$=$
${\omega_2}$
と推定できる.
したがって,あなたは
2番ドアに変更すべきである.
5.5: モンティホール問題: 非ベイジアン的方法
This web-site is the html version of "Linguistic Copehagen interpretation of quantum mechanics; Quantum language [Ver. 4]" (by Shiro Ishikawa; [home page] )
PDF download : KSTS/RR-18/002 (Research Report in Dept. Math, Keio Univ. 2018, 464 pages)
問題5.14 [モンティホール問題(フィッシャーの最尤法による解答)]
あなたはゲームショーに出演している.
3つのドア
(すなわち,「1番」,
「2番」,
「3番」
)
のうちの
1つのドアの後ろには自動車(当り), 他の2つのドアの後ろには
羊(はずれ)が隠されている.
司会者は,どのドアの後ろに自動車が隠されているかを知っている.
しかし,あなたはそれを知らない.
解答: