アブストラクト: 量子言語において重要なことは, 演習・訓練で,特に、

  • 「測定と因果関係の絡み」の演習・訓練
で,これが,測定理論(二元論的言語)の「実質的なすべて」と言える.
量子系では非可換性の制約条件があるためあまり深い議論ができなかったが(前章).本章では「古典系の測定」を主に扱うので. 「測定と因果関係の絡み」について かなり深い議論が できる. この分野(実質的には、動的システム理論のすべて)は書き出したら切りがない. したがって,本章では, ゼノンのパラドックスとその周辺の議論だけに絞った.すなわち, ゼノンの問題提起は,

$(\flat):$ 「アキレスと亀(や飛ぶ矢)」を日常言語で議論するのは止めよう。
「アキレスと亀(や飛ぶ矢)」を議論する「世界記述法(=思考の形式の枠組み)」を確立して,
その下に「飛ぶ矢が飛ぶ」ことを示せ

なのだから, 我々の「量子言語」でこれを確認すればよい. 本章は,以下の文献からの抜粋である.
$\bullet$ S. Ishikawa, "Zeno's paradoxes in the Mechanical World View," arXiv:1205.1290v1 [physics.hist-ph], (2012) ; S. Ishikawa, "Measurement Theory in the Philosophy of Science", arXiv:1209.3483 [physics.hist-ph] 2012, (177 pages)





$\S$1.1で述べたように, 我々の目的は次図を主張することである:
  • 図1.1: 世界記述の発展史の中の量子言語の位置
上図(特に, ⑦--⑨)から、量子言語は次の3つの特徴をもつと言える: $$ \left\{\begin{array}{ll} \mbox{ ⑦ :量子力学の標準解釈} \\ \mbox{ $\qquad$ (i.e.,コペンハーゲン解釈の真の姿) } \\ \\ \mbox{ ⑧ : 二元論的観念論の終着点 (デカルト=カント哲学) } \\ \\ \mbox{ ⑨ : 未来の理論統計学 } \end{array}\right. $$