$\quad$ 回帰分析は,計算法としては統計学の初歩であるが,その意味は簡単というわけではない. たとえば,回帰分析のキーワード: \begin{align*} \mbox{「回帰」,「説明変数」,「目的変数」} \end{align*} は適切なネーミングというわけではない。 「回帰」は、ゴルトン、ピアソン等の歴史的経緯「平凡への回帰」があるわけで,このネーミングの不適切さに今さら異を唱えるつもりはない. しかし,「説明変数」,「目的変数」は,その場しのぎの「安直なネーミング」で混乱の元凶になっていると思う. このような場合は, 原則(=量子言語)に戻るべきで, 本書全体を通しての主張: \begin{align*} \mbox{すべてを量子言語で記述せよ} \end{align*} である. よって,この章では, 「回帰分析」を量子言語で語る. したがって,本章では, 以下のように進める. \begin{align*} \underset{\mbox{(15.1節)}}{\fbox{最小二乗法}} \xrightarrow[\mbox{量子言語}]{} \underset{\mbox{(15.2節)}}{\fbox{回帰分析}} \xrightarrow[\mbox{一般化}]{} \underset{\mbox{(15.4節)}}{\fbox{一般化線形モデル}} \end{align*} もちろん,「計算」ではなくて,「(量子言語的)意味」に興味を集中させる.





$\S$1.1で述べたように, 我々の目的は次図を主張することである:
  • 図1.1: 世界記述の発展史の中の量子言語の位置
上図(特に, ⑦--⑨)から、量子言語は次の3つの特徴をもつと言える: $$ \left\{\begin{array}{l} \mbox{ ⑦ :量子力学の標準解釈} \\ \mbox{ $\qquad$ (i.e.,コペンハーゲン解釈の真の姿) } \\ \\ \mbox{ ⑧ : 二元論的観念論の終着点 (デカルト=カント哲学) } \\ \\ \mbox{ ⑨ : 未来の理論統計学 } \end{array}\right. $$